着物に関する用語集です。
あ行~着物用語集
藍染め(あいぞめ)

藍で糸や布を染色したもの。現在は植物染めだけでなく合成染料も使用される。
麻(あさ)

麻が素材となっている着物全般。絽と同様,夏の着物で使用される。
後染め(あとぞめ)
反物を織った後で染める事。染めの着物と同じ意味として使われる。
雨ゴート(あまごーと)
雨用のコート。撥水加工されている。
雨下駄(あめげた)
つま先カバーのある下駄。雨に濡れている地面に着物が付いてしまうのを防ぐ。
洗張(あらいはり)
反物の状態に戻すため縫い合わせられた糸を解いて洗う手段。色々な洗い方がある。
有松・鳴海絞(ありまつ・なるみしぼり)
名古屋市緑区の有松,鳴海地区で作成された絞り染めの総称。日本の絞り製品のほとんどはここで作られている。
阿波しじら織(あわしじらおり)
シボという藍染めと凸凹が特徴的な夏の着物。徳島県阿波地方で織られている。
袷(あわせ)
透けない生地に胴裏と八掛の裏地を付けて仕立てられたもの。基本的に10~5月に着用される。
一重太鼓(いちじゅうだいこ)
帯の太鼓部分が一重にされた結び方。一般的に太鼓≒一重太鼓とされる事が多い。
五つ紋(いつつもん)
抱き紋(両胸に1つずつ)背紋,袖紋(両袖に1つずつ)の紋がある着物。
色留袖(いろとめそで)
礼装の一種。既婚・未婚関係なく着ることができる。五つ紋である色留袖は黒留袖と同格とされる。
色無地(いろむじ)
黒以外の一色で染められた着物。紋論子・紋意匠ちりめんといった素材を使用することが多い。
1つ紋の色無地は準礼装にあたる。
牛首紬(うしくびつむぎ)
玉繭から糸を直接取って作られている。別名「釘抜き紬」とも呼ばれ節の浮いた強い質感を持ち,丈夫である。
後ろ幅(うしろはば)
後ろ身頃の幅。
薄物(うすもの)
夏の着物を指し透け感のある素材で作られている。7~8月に着るのが基本。麻・絽・紗などを使用する。
越後上布(えちごじょうふ)
重要な無形文化財に登録されている,夏の麻の着物の最上級品。非常に薄く,独特のシャリ感がある。
江戸小紋(えどこもん)
模様が細かい事が多く色無地感覚で着られる着物。武士の裃に藩が定めたそれぞれの小紋を染めたのが発祥。
江戸褄(えどづま)
江戸褄文様の略語である。和服の模様の置き方の1つ。現在は黒留袖が江戸褄と呼ばれる事もある。
絵羽模様(えばもよう)
全体の構成が1枚の絵のような模様の名称。黒留袖・振袖・色留袖・訪問着などに多く見られる。
衣紋(えもん)
首の後ろの衿まわり。衣紋を抜く⇒衿の後ろを引き下げる事。
衿(えり)
別名:本襟とも呼ばれる。
着物・襦袢・羽織などの首周りから胸元へと続く前身頃と後身頃に縫い付けられている部位。
置賜紬(おいたまつむぎ)
山形県置賜地方で作成されている織物の総称。長井紬・白鷹御召・米沢紬・紅茶紬など。
大島紬(おおしまつむぎ)
奄美大島と鹿児島市が主な生産地である着物。泥染めと呼ばれる奄美大島のみが行なっている泥染めに由来される独特の黒色の光沢が特徴的。
藍染と併用された泥藍大島や泥染めを用いない白大島もある。
衽(おくみ)
衿から裾まで前身頃に縫い付ける半幅の布部分の名称。
小千谷縮(おじやちぢみ)
織り上げられた布を湯で揉んで作られる麻織物。独特の凸凹はシボと呼ばれ,ラミー糸で織られたものが定番とされる。
小千谷紬(おぢやつむぎ)
綿から紡いだ糸によって織られており軽くて暖かな風合いが特徴。小千谷紬の技法が受け継がれており主な模様は緯糸で表される。
おはしょり
着丈に合わせてたくし上げることが可能な折返しの部分。
帯(おび)
着物の胴部に巻かれる布の総称。
帯揚げ(おびあげ)
帯に通して結ばれる布。帯結びの形を整える役割を持つ。
帯板(おびいた)
帯を締める際に,帯にシワがよってしまうのを防ぐため前に挟む板。
帯締め(おびじめ)
帯結びが崩れてしまわぬように締められるヒモ。
帯芯(おびしん)
帯に張りを出すために使われる芯。帯によっては帯芯が無い場合もある。
帯留め(おびどめ)
細い帯締めに通して使用される。従来は形状の違う帯の固定具だったが現在は装身具に変化している。
帯枕(おびまくら)
太鼓の形を整えるために使用される道具。
帯山(おびやま)
太鼓に結ばれている帯上のライン。
御召(おめし)
御召ちりめんの略語。独特のシボが特徴で11代将軍の徳川家斉が好んだお召し物が名称の元と言われている。
か行~着物用語集
加賀友禅(かがゆうぜん)
写実的な草花模様といった柄が特徴的で加賀五彩という5色が基調にされている。
1人の職人により製造工程の殆どが仕上げられる。
掛衿(かけえり)
衿の汚れを防ぐために衿の上に重ねられるもの。
かけはぎ
着物に穴が空いた時に主に差し込みと呼ばれる技法にてその穴を埋める事。
これとは別に折り込みという技法もある。
絣織(かすりおり)
全国各地で作られている,部分的に染め分けて柄を出す絣糸が使用された着物の総称。備後絣・伊予絣・久留米絣が特に有名。
絣柄(かすりがら)
白地や藍染め時に細かい線・十字といった模様が散りばめられている柄の総称。矢絣・十字絣・井桁絣などがある。
型染め(かたぞめ)
模様が彫られた型を白生地に置いて,上から色糊・防染糊で染めていく事。複数の型紙を使用し多色刷りにする場合もある。
鹿の子絞り(かのこしぼり)
鹿の子まだらを白く染め抜いた絞り染めの技法。定番として振袖の帯揚げが挙げられる。
着丈(きたけ)
着付けた時の着物の長さ。
黄八丈(きはちじょう)
古くから八丈島で織られてきた織物。八丈島に自生する植物で染められており光沢のある黄色が特徴である。
九寸名古屋帯(きゅうすんなごやおび)
生地の端を内側に折り込み基本的には芯を入れて仕立てたもの。薄い生地によって仕立てられる事も多い。
京鹿の子絞り(きょうかのこしぼり)
染め上がりが子鹿の背中模様に似ているという事から名前が付けられた。疋田絞などで有名。
京小紋(きょうこもん)
明治初期に生まれデザイン性の高い,美しい模様が描かれる。型紙を使用して染められる。
京友禅(きょうゆうぜん)
京都で生産されている友禅染。手書きにより染色された手書き友禅と,型紙が使用された型友禅がある。
鯨尺(くじらじゃく)
着物を寸法を計る時に使用されるものさし。尺貫法で表される。長さが曲尺とは異なる。
久米島紬(くめじまつむぎ)
琉球王国の伝統手法が受け継がれており久米島内に自生する植物由来の染料を使って作られる織物。
黒留袖(くろとめそで)
既婚女性の第一礼装である。披露宴・結婚式などで親族が着る着物。上半身には柄が無く裾に絵羽模様が広がる。
下駄(げた)
カジュアルな着こなしに合う下駄には,形状により丸桁,右近下駄,舟形下駄,駒下駄などがある。
献上(けんじょう)
献上博多織の略。
格子柄(こうしがら)
幾何学文様の基本の1つで縦縞と横縞を合わせた文様。
腰ひも(こしひも)
着物の着付けを行う時に用いられるひも。
こはぜ
足袋の留め具。
一般的には四枚こはぜだが三枚・五枚・六枚もある。
小紋(こもん)
反物全体に模様が繰り返し型染めされている着物。模様の大きさに決まりはない。
さ行~着物用語集
先染め(さきぞめ)
糸を織る前に染める事。織りの着物≒先染めと使われている。
三分ひも(さんぶひも)
帯留めを使用する際に用いる細い帯締め。
シボ
着物の表面に作られる凸凹。縮やちりめんに多く見られる。
絞り染め(しぼりぞめ)
糸を縫い止めた,もしくは1部がくくられた状態から染められる技法。絞った部分が白く残り模様となる。
縞柄(しまがら)
縦または横の筋によって構成された文様。着物は縞柄が多い。
尺貫法(しゃっかんほう)
着物の寸法は日常的に使われるセンチやメートルと違い尺・寸・分で表される。
一寸=約3.8センチ
一分=約3.8ミリ
しゃれ袋(しゃれぶくろ)
おしゃれ時に使用される袋帯。礼装用には使われない。
準礼装(じゅんれいそう)
絵羽模様が上半身・下半身にも入っている華やかな訪問着に紋をつければ準礼装になる。
裾(すそ)
着物の下の端の部分。
裾回し(すそまわし)
八掛のこと。
裾よけ(すそよけ)
半襦袢と共に用いられる腰に巻き付けるもの。
背中心(せちゅうしん)
背中にある左右の後ろ身頃を縫い合わせている縫い目。
これが背骨に沿ってまっすぐに縫われているのが美しい着付けとされている。
背縫い(せぬい)
左右の後ろ身頃を縫い合わせている背中の中央にある縫い目。背中心と同義。
全通(ぜんつう)
帯全体に柄があるもの。
草履(ぞうり)
着物の格によって草履も様々なモノがある。草履の足が当たる部分を天,側面が巻,指で挟む部分を前つぼと呼んでいる。
草履カバー(ぞうりかばー)
雨の日に使用する草履のカバー。濡れるのを防止する。
袖丈(そでたけ)
袖の上下の長さ。好きに決められるが3寸程度が多い。
袖幅(そではば)
袖の左右の幅。反物の幅や裄丈の長さで自然と決まる。
染め替え(そめかえ)
好まない色や古くなった着物などを染め替えること。薄い色の方が失敗が少ない。
染め抜き日向紋(そめぬきひなたもん)
紋の中を白上げし輪郭や詳細を細い線でかたどったもの。
た行~着物用語集
第一礼装(だいいちれいそう)
既婚女性⇒黒留袖
未婚女性⇒振袖
未婚・既婚ともに着られる⇒色留袖
五つ紋の色留袖の場合黒留袖と同格になる。
太鼓(たいこ)
帯を結んだ時に背中にできる膨らんだ部分。別名:お太鼓
太鼓柄(たいこがら)
太鼓部分のみ柄がある帯。
伊達衿(だてえり)
半衿と着物の本襟の相手に挟んで使用するもの。別名:重ね衿。
伊達締め(だてじめ)
おはしょりや襟元を整えるために使用される。結びやすいように両端がやわらかくなっている。
足袋(たび)
白いキャラコが一般的。こはぜが四枚付いているものが四枚こはぜ。
五枚こはぜはしっかり足首を包む。
袂(たもと)
着物の袖の垂れた袋状の部位。
タレ
下幅から10センチぐらいの部位。
反物(たんもの)
着物の布の名称。基本的に一反で着物一着分。
一反≒12~13メートル程度の長さ。
ちりめん
ちりめん=縮緬と漢字で書かれる。絹織物の生地の名称。
緯糸に強い撚りをかける事で独特のシボができる。
対丈(ついたけ)
着物の丈と着丈が同じもの。おはしょりを取らずに着る方法。
付け下げ(つけさげ)
模様が訪問着よりも控えめな着物。模様が繋がるのは上前と袵程度。
全ての模様が仕立てた時に上を向いている特徴がある。
褄先(つまさき)
着物の袵の下の端の部分。
紬(つむぎ)
真綿から紡いだ真綿糸や玉糸を使用して作られた絹織物の一つ。
現在では絹糸を使用する場合もある。基本的に先染めだが後染めの紬もある。
手描き染め(てがきぞめ)
刷毛・筆を使用して色を差したり防染して色を染めていく技法。手書き独特の繊細さが魅力。
胴裏(どううら)
袷の着物や長襦袢の胴の裏地。
東京染小紋(とうきょうそめこもん)
東京で染められる小紋。小さい柄を一色で染めた江戸小紋が有名。
京小紋に比べ色数が少なくすっきりとした仕上がりが特徴。
共八掛(ともはっかけ)
表の布と同じ布でつけた裏地。
な行~着物用語集
長襦袢(ながじゅばん)
着物用の下着の一種。肌襦袢と裾よけの上に着る裾までの長さがある。
名古屋帯(なごやおび)
大正時代に名古屋で考案された事で名前が付いたという帯。
太鼓部分は袋状で一重太鼓になり胴回りとテ先の部分は折ってある。
西陣織(にしじんおり)
京都市の西陣地区でおられる絹織物の総称。
帯には金糸や銀糸などが織り込んでいると有名。
二重太鼓(にじゅうだいこ)
太鼓の部分が二重になる帯の結び方。一般的に袋帯は二重太鼓で結ばれる。
二部式(にぶしき)
半襦袢と裾よけがセットになったもの。
は行~着物用語集
羽織(はおり)
冬など気温が低い時,着物と帯だけでは寒い時に羽織るもの。丈には流行があり様々な長さがある。
博多織(はかたおり)
福岡市博多地区で織られている織物。花皿や独鈷,織り目が硬いことが特徴的な献上博多が有名。
八掛(はっかけ)
袷の着物の裏に付ける布。
八寸名古屋帯(はっすんなごやおび)
通常芯を入れずに生地の幅そのものに仕立てたもの。ハリのある生地で仕立てられる事が多い。
半衿(はんえり)
長襦袢の衿に縫い付けられるもの。名称の由来は本衿の半分の長さだから。
半幅帯(はんはばおび)
並幅の半分の幅の帯。主に麻や木綿の着物で楽しまれている。
単衣(ひとえ)
裏地を付けずに仕立てられた着物。6月,9月に着用するのが基本。
一つ紋(ひとつもん)
背中の中央にある背紋のみの着物。
比翼仕立て(ひよくじたて)
裾,振り,袖口,衿の部分のみ二重にし重ね着のように見せる方法。
袋帯(ふくろおび)
礼装用の帯で最初から袋状に仕上げられている。礼装用で使用される事が多いので金糸や銀糸が含まれた豪華な帯。
金糸や銀糸が入っていない袋帯⇒しゃれ袋
振袖(ふりそで)
未婚女性の第一礼装で袖丈が長く華やかな柄が全身に描かれる。金糸や銀糸の入った帯が選ばれる。
兵児帯(へこおび)
元々は男性用の帯だったが今では女性用もある。
防染(ぼうせん)
染める方法。糸や布に染料などの浸透を防ぐ糊などを塗ること。塗料後に染めて模様を表す。
訪問着(ほうもんぎ)
大正時代に社交着として定着した準礼装。模様が全体に縫い目で繋がれてる絵画のような着物。
当時は三つ紋だったが,現在は一つ紋,もしくは紋をつけない事の方が多い。
ぼかし染め(ぼかしぞめ)
濃い箇所から少しずつ淡くなっていく染め方。
補整(ほせい)
着物を着用しやすい形に整える為にウエストなどの部位に布を当てる事。
本だたみ(ほんだたみ)
着物の基本的な畳み方。
ま行~着物用語集
前幅(まえはば)
前身頃の幅の部分。
丸洗い(まるあらい)
着物の場合は揮発洗いを指す。
丸帯(まるおび)
幅広に織った布地を二つ折りにして仕上げた帯。第二次世界大戦までは礼装用に使用されていた。(現在は袋帯が主流)
身丈(みたけ)
身長を指す。
道行(みちゆき)
着物用のコート。
三つ紋(みつもん)
背紋に加え,両袖に紋がある着物。
宮古上布(みやこじょうふ)
沖縄県宮古島で織られてきた麻の織物。手積み糸を植物染料で染めて織り仕上げに砧打ちを行う。
身八つ口(みやつぐち)
女性用の着物の見頃の脇の空いている部位。
名物裂(めいぶつぎれ)
絹織物の呼び名の一つ。室町時代に中国より伝わる。茶の湯で名物といわれた茶道具を入れる袋などに使われた布地。
紋(もん)
家の印である家紋。紋の数で着物の格が決められる。
や行~着物用語集
夜着だたみ(やぐだたみ)
振袖や留袖の畳み方。
結城紬(ゆうきつむぎ)
茨城県結城市が主な産地として真綿から手作業で紡いだ糸だけが使用されている着物。
国の重要無形文化財。
友禅(ゆうぜん)
染めの技法の1つ。友禅糊を使用して精巧な模様に染め上げられる。
京友禅・加賀友禅などが有名。
浴衣(ゆかた)
元来,入浴時に着用するものだったが現在は夏の街着としても使用されている。
従来は素肌に着用するものだったが,肌襦袢と裾上げを下に着るのが一般的になっている。
裄丈(ゆきたけ)
腕の長さ。首の後ろの頚椎点から肩をまっすぐ通り,腕の付け根の肩先点から手首まで。
撚り(より)
糸を綟り合わせる事。ちりめんは撚りの強い糸を用いて作られている。
ら行~着物用語集
琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)
琉球王国の身分が高い人の礼装として作られた着物。藍一色のモノは藍型と呼ばれる。
綸子(りんず)
絹の紋織物。経糸緯糸共に生糸が使用されており光沢がある。
別名:紋綸子
絽(ろ)
経糸を綟りながら緯糸と織り込んでいく方法。透け感があり夏の着物の素材として使用される。
六通(ろくつう)
帯の六割程度に柄があるもの。